2026年9月7日

キャッシュレス化が進む海外、それでも現金が必要な理由

キャッシュレス先進国でも現金が根強く残る理由とは?クレジットカード不正利用やシステム障害など、カード決済に頼るだけのリスクを整理。海外旅行・出張における現金とキャッシュレスの最適なバランスを、具体的な実体験と各国の事例を交えて紹介します。

キャッシュレス化が進む海外、それでも現金が必要な理由

海外ではキャッシュレス決済がかなり浸透してきていると私は感じています。

北欧のスウェーデンやデンマーク、フィンランド、ノルウェーではクレジットカードや個人間送金アプリが生活の隅々まで広がり、現金をほとんど使わない人も珍しくありません。

中国でもアリペイやWeChat Payといったスマホ決済が都市部の日常に定着しており、財布を持たずに外出する人も見かけます。

こうした流れを見ていると、日本のキャッシュレス決済比率が2025年実績で国内指標58.0%、国際比較指標では46.3%にとどまっている現状は、世界的にはまだ発展途上だと言わざるを得ません(出典:経済産業省公表資料をもとにした解説記事「日本のキャッシュレス決済比率と2030年65%目標」JPCC) 。

政府も2030年までに国内指標で65%、将来的には80%を目標に掲げており、今後も普及が進んでいくのは間違いなさそうです。

それでも、キャッシュレスが浸透しきっていない国や店もある

ただ、私はここで一度立ち止まって考えたいと思っています。キャッシュレス先進国というイメージが強い欧州の中にも、実は現金志向が根強く残る国があるからです。

その代表例がドイツです。ドイツ連邦銀行の調査によると、ドイツの人々はモノやサービスの購入の6割近くを今も現金で行っています(出典:Newsweek日本版「キャッシュレスに消極的...もっぱら『現金派』のドイツ人、背景には驚くべき理由が」President Online) 。

背景には、プライバシー保護への強いこだわりや、巨大テック企業への不信感、さらには政治的・金融的な危機で預金が一夜にして消えてしまうことへの警戒感があると言われています。

歴史ある街の老舗カフェが現金払いしか受け付けていないという光景も、ドイツでは決して珍しくありません。

こうした事例を見ると、キャッシュレス化の進み方は国ごと、地域ごと、さらには店ごとに大きな差があるということがよく分かります。海外旅行や出張の際、有名な観光地やチェーン店ではカードやスマホ決済が問題なく使えても、地方の小さな商店や個人経営の飲食店では現金しか受け付けていないというケースは実際に少なくありません。

私は、キャッシュレス先進国という言葉のイメージだけで海外の決済事情を一括りにしてしまうのは、かえって危ういのではないかと思っています。

クレジットカードだけに頼ることのリスク

もう一つ私が意識しておきたいと思うのが、クレジットカード一辺倒で海外を旅すること自体に潜むリスクです。

海外では、ATMのカード挿入口にスキマーと呼ばれる装置を仕掛けて磁気情報を盗み取る手口や、タクシーの運転手にカードを手渡した隙にスキミングされる手口が報告されています。

東南アジアのゴルフ場では、ロッカーに預けた財布の中のカードを他人名義のものにすり替えられ、気づかないうちに不正利用されるという事例まであるようです(出典:日本クレジットカード協会「海外渡航時のご注意事項」JCCA) 。

日本クレジット協会の調査でも、クレジットカード不正利用被害のおよそ3割弱が海外で発生していると報告されており、決して他人事とは言えない数字だと私は感じています。

不正利用された場合はカード会社の補償を受けられることが多いものの、カードを停止してから再発行されるまでの間、その国で決済手段を失ってしまうことに変わりはありません。

クレジットカードだけに頼っていると、こうしたトラブルが起きた瞬間に身動きが取れなくなるおそれがあります。私は、現金を分散して持っておくことは、単なる備えというより、旅行や海外生活における一種のリスクヘッジだと考えています。

停電やシステム障害でカードやスマホが使えなくなることもある

現金の必要性をあらためて突きつけられたのが、2025年4月にスペイン・ポルトガルを襲った大規模停電だったと私は思っています。

イベリア半島全域で約6000万人が影響を受け、信号機の停止による交通混乱や公共交通機関の運行停止、病院機能の低下など、社会インフラが広範囲にわたり麻痺しました(出典:Newsweek日本版「スペイン、ポルトガル、南仏『大停電』の原因は『再エネへの移行』?」Newsweek日本版、2025年4月30日) 。

この停電では、カードやスマートフォンによる決済がまったく使えなくなり、銀行のATMも機能を停止しました。ポルトガルではスーパーや薬局、電子決済が軒並み使えなくなり、経済活動そのものが止まってしまったと報じられています。

この事態を受け、欧州委員会は緊急時に備えて72時間分の物資を備蓄するようEU市民に呼びかけました。

私は、停電やサイバー攻撃といったデジタルインフラの途絶は、キャッシュレス社会の弱点を一瞬で露呈させるものだと感じています。

実際、キャッシュレス化の最先端を走ってきたスウェーデンでも、有事に備えて食料品店や薬局に現金決済の受け入れを義務付ける法律が2026年に施行されました。ロシアの脅威やサイバー攻撃への警戒からとはいえ、キャッシュレス先進国自身が現金の価値を再評価しているという事実は、示唆に富んでいると私は思います。

高齢者やデジタル弱者が取り残される問題

キャッシュレス化が進みすぎることで生まれる、もう一つの問題にも触れておきたいと思います。

中国ではスマホ決済の普及が進んだ結果、現金やクレジットカードでの支払いを拒否する店舗が続出し、スマートフォンを持たない高齢者や農村部の住民、中国国内の銀行口座を持たない外国人観光客らが日常生活で不便を強いられています。

ある調査では、インターネットを使わない層の13.4%が電車や飛行機の切符を買えないと回答し、14.7%が病院の受付や診察、薬の購入に困難を感じていると答えています(出典:J-STAGE掲載論文「中国における高齢者のデジタルディバイド」J-STAGE) 。

こうした事態を受け、中国政府は紙の健康証明書を発行し、現金決済や対面サービスの拒否を禁じる措置を講じました。

こうしたデジタル格差の広がりを見ていると、私はキャッシュレス化の恩恵を受けられる人と受けられない人の分断が、先進国であっても起こり得ることをあらためて実感します。

現金お断りを法律で禁止する動きも

こうした分断への懸念からか、現金での支払い拒否そのものを法律で禁じる動きが欧米で広がっている点も興味深いと私は考えています。

アメリカのニューヨーク市議会は、市内のレストランや小売店が現金の受け取りを拒否し、クレジットカード払いなどに限ることを禁止する法案を、賛成43反対3という圧倒的多数で可決しました。違反した店舗には初犯で1,000ドル、2回目以降は1,500ドルの罰金が科されます。

同様の規制はサンフランシスコ市やフィラデルフィア市がすでに2019年に導入しており、ニュージャージー州では州全体で現金お断りを禁止しています。

こうした規制の狙いは、銀行口座やクレジットカードを持たない層が現金以外の支払い手段を持たないために被る不利益を防ぐ、金融包摂の考え方にあると私は理解しています。キャッシュレス化の先頭を走る国ほど、皮肉にも現金という選択肢を制度的に守る必要に迫られているように見えます。

 

【実体験】個人的に海外現金を持っていて助かった場面

ここからは、私が実際に海外現金を持っていたおかげで救われたと感じた場面を、3つほどご紹介したいと思います。

1つ目は、台湾の有名な観光地の食堂でカードが使えなかったときです。 

台湾の有名な観光地を訪れた際、お腹が空いたので目についた地元向けの食堂に入ったのですが、会計時になってカード決済の機械がそもそも置かれていないことに気づきました。

周りを見渡しても他の客は皆、紙幣でやり取りしています。もし現金の持ち合わせがなければ、その場で食べた分の支払いができず、気まずい思いをしていたはずです。財布に多少の現地通貨を入れておいたおかげで事なきを得ましたが、あのときばかりは冷や汗をかきました。

2つ目は、カード会社の不正検知システムによって、突然カードが使えなくなったときです。 

フランス旅行に行った際、パリでの滞在時、普段と違う利用パターンが不正利用と判断されたのか、レストランでの会計時にカードが通らなくなってしまったことがありました。

その場でカード会社に連絡を取ろうにも、時差の関係でなかなかつながらず、結局その日の食事代や交通費はすべて手持ちの現金でまかなうことになりました。カードが使えなくなるリスクは自分にはあまり関係ないと思っていたのですが、実際に経験してみると、現金という代替手段があることのありがたみを痛感しました。

3つ目は、NYでの滞在先のホテル周辺で通信障害が起き、店の決済端末が軒並み止まってしまったときです。

詳しい原因はわかりませんが、その日はエリア一帯でカード決済やQRコード決済がまったく反応しない状態が数時間続きました。周りの店員さんたちも困惑した様子で、レジの前には会計できずに列をなす人の姿がありました。

私はたまたま多めに現金を持ち歩いていたので、スムーズに会計を済ませることができましたが、もし現金の持ち合わせがなかったらと思うとぞっとします。この経験から、私は旅行の際には必ずある程度まとまった現地通貨を持ち歩くようにしています。

こうした経験を通じて、私は「現金なんて今どき必要ない」という考え方には慎重になったほうがよいと感じるようになりました。

 

まとめ 現金という選択肢を手放さないという視点

キャッシュレス決済は、支払いの利便性向上やコスト削減などさまざまなメリットをもたらしてきました。しかし、ここまで見てきたように、国や地域、お店によってキャッシュレスの浸透度には大きな差があり、クレジットカードだけに頼ることにはスキミングや不正利用といったリスクも伴います。

加えて、停電やシステム障害で決済インフラそのものが止まってしまうこと、高齢者やデジタル弱者が取り残されてしまうことも見過ごせない問題です。

私は、海外に出かける際やこれからのキャッシュレス社会を考えるうえで、キャッシュレスと現金のどちらか一方に偏るのではなく、両方をバランスよく持っておくことこそが、もっとも安心で現実的な備えなのではないかと考えています。

 

海外旅行前後の両替はkawaii money exchangeへ


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  • アクセス:JR新宿駅西口より徒歩3分/都営大江戸線 新宿西口駅より徒歩1分
  • 営業時間:11:00〜19:00(定休日:日曜日)
  • 経路案内(Googleマップ):https://share.google/RwOW5886cHEnrWg2b
  • 公式サイト:https://www.kawaiimoneyexchange.com/

 

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